要約の目的を先に決める
「要約して」だけで頼むと、全体を均等に短くしたものが返ってきます。実務で欲しいのはたいてい別のもので、目的によって残すべき部分が変わります。
| 目的 | 残すもの | 指示の例 |
|---|---|---|
| 内容を把握する | 主張と根拠 | 「主張と根拠を3点で」 |
| 判断する | 選択肢と条件 | 「決めるべき点と、その条件を」 |
| 人に伝える | 相手に関係する部分 | 「◯◯部に関係する箇所だけ」 |
| 作業する | やること | 「やること・期限・担当だけ」 |
要約で落ちるもの
短くする過程で、決まって落ちるものがあります。判断に使う場合は、次を明示的に残すよう指定してください。
- 条件 — 「〜の場合に限り」が消えて、一般論になる
- 例外 — ただし書きが省かれる
- 不確実さ — 「〜と思われる」が断定になる
- 反対意見 — 主流の意見だけが残る
- 数値の前提 — いつ時点か、どの範囲かが消える
「条件と例外は省略せず残して」と一言足すだけで、かなり変わります。
長い資料を扱う時
資料が長い場合、一度に渡すと全体が薄く要約されます。次の順にすると精度が上がります。
- 章ごとに分けて渡し、章ごとに要約させる
- 章の要約を並べて、全体の構造を作らせる
- 結論に関わる章だけ、原文に戻って確認する
3番を飛ばさないでください。要約された要約は、条件がほぼ残りません。
複数の資料をまとめる時
複数を一度に渡すと、食い違いが平らにならされて1つの説明にまとめられます。これが一番危険な挙動です。
- 「食い違う点は統合せず、両論として残して」と指定する
- 資料ごとに出典と日付を付けて渡す
- まとめた後、食い違いが残っているか確認する
食い違いは、そこに判断が必要だという合図です。消されると、判断すべきことがあったこと自体が見えなくなります。
要約させる前に決める2つ
目的のほかに、次の2つを決めておくと出力が安定します。
| 決めること | 指定の例 |
|---|---|
| 誰が読むか | 「決裁者向け。専門用語は避けて」 |
| どの形式か | 「箇条書き5点」「表で」「300字の文章で」 |
形式を指定しないと、毎回違う形で返ってきて比べられません。同じ種類の資料を繰り返し要約する場合は、形式を固定してください。
要約を人に渡す時
要約したものをそのまま人に渡す場合、次を添えてください。
- 元の資料が何か(名前と日付)
- どの範囲を要約したか
- 確認していない部分があるか
これが無いと、受け取った側が原文にあたれません。要約は原文の代わりではなく、原文への入口として渡すほうが安全です。
実践ログから分かったこと
要約で実際に困ったのは、複数の資料を一度に渡した時でした。食い違っていた部分が、自然な1つの説明にまとめられていて、どちらの資料に何が書いてあったのか分からなくなりました。
それ以来、「食い違いは統合せず残して」と必ず書いています。まとまった文章になるより、判断が必要な箇所が見えるほうが実務では役に立ちます。
FAQ
どのくらいの長さに要約すべきですか?
長さより目的です。把握したいのか、判断したいのかで残すものが変わります。
長い資料はどう渡しますか?
章ごとに分けて要約させ、最後に構造をまとめさせてください。一度に渡すと全体が薄くなります。
要約の内容は信用できますか?
構造の整理は概ね機能しますが、条件と例外が落ちます。判断に使う部分は原文を確認してください。
複数の資料をまとめられますか?
できますが、食い違いを統合させないよう指定してください。指定しないと1つの説明にまとめられます。


